
株価が200%上昇したCloudflareの秘訣とは?!
(この記事は2021年11月8日に作成しました。)
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最近株価が昨年と比べて200%も上昇したCloudflareはエンジニアも投資家も好きで注目している企業です。CloudflareはAmazonのような大型企業だけがしていたことをしようとしています。
Cloudflareはどんな企業?
「Cloudflare」という社名を聞いたことない方もいるかもしれませんが、インターネット上で何かが起こった時、特にウェブサイトがシャットダウンされた時にこの会社名がよく出て来ます。
Cloudflareは2010年9月27日に設立されてクラウド企業で「CDNサービス」で有名です。
CDNとは?
費用を払うと、コンピュータネットワークがWebサイトのファイルをコピーして、サービスを利用するユーザーに転送してくれるサービスです。
Contensts Delivery Network
用語集|CDN https://www.idcf.jp/words/cdn.html
コンテンツデリバリーネットワークの略。大容量のデジタルコンテンツをインターネット上で大量配信するためのネットワークのこと。
正直なところ、サービス自体は面白い!!すごい!!と思うところはないかもしれませんが、
Cloudflareが新しくリリースしたサービスが最近すごく注目されています。
その結果、この企業は200%上昇しました!

IPO(Initial Public Offering:新規公開株)に比べてなんと1000%に達しています。

エンジニアと投資家、IT業界はCloudflareがこれからどんな動きするのか注目しています。
ここでCloudflareについて知っておけば、これから早くて安い価格で簡単にサービスをリリースすることができるかもしれません。これから今注目を浴びているCloudflareの新たなサービスについて説明します。
Birthday Week Wrap-Up: Every day is launch day at Cloudflare
https://blog.cloudflare.com/birthday-week-2018-wrap-up/
Cloudflareは毎日がローンチデーです。
Cloudflare R2
このサービスがAmazonのAWS ‘S3’の競合プロダクトです。名前からその意図が分かります。
アルファベットRはSの前にあって、数字2は3の前にあります。

AWS ‘S3’は業界標準(インターネットにファイルを保管するサービス中で基準となっている。)になっています。
ユーザーがアップロードしたファイルを保存するためにS3を使います。
InstagramもFacebookに買収される前まですべてのファイルをAWSに保存しました。
AmazonのAWS「S3」を使うのはかなり安いです。
1GBを1ヶ月の費用が0.025ドル(2.84円:2021年11月8日基準)。
Cloudflare 「R2」を利用したらその費用は?
1GBを1ヶ月の費用が0.015ドル(1.70円:2021年11月8日基準)です。

ご覧のとおり、AWSより少し安いです。
Amazon S3 の料金
https://aws.amazon.com/jp/s3/pricing/?nc1=h_ls
しかし、これはCloudflareが注目されている理由ではありません。
ユーザーがデータをアップロードするとき、
例えば、インスタに写真をアップロードする場合、インスタグラムはその保存容量を購入しなければなりません。その費用は高くないので大丈夫ですが(1GBが0.025ドル)ここには別の費用が隠れています。
この隠れている費用はユーザーがデータを要求するたびに発生します。
つまり、ユーザーが写真を見るたびにお金を払わなければならないのです。
(該当する画像をユーザーに見れるようにインターネット費用を払うこと。)
この費用のことを「エグレス料金」と言います。
現在、AWS S3から1GBをダウンロードするための費用は0.09ドル(9セント:10.22円)です。
まさに、これでアマゾンが稼いでいるのです。
大したお金ではないと思うかもしれませんが、エグレス料金はユーザーが多ければ多いほど大きくなります。
つまり、私が1GBの動画をアップロードしたとします。この動画が大ヒットして100万人が見ました。
たとしたら、私がアマゾンに払わなければならないお金は
0.005ドル×1,000,000人=53,891ドル(約600万円)
すごくないですか? まさにここからAmazonの収益が生み出されているのです。
AWSはアップロード無料。 ファイル転送も無料。 保存するのも安い。
しかし、データをAmazonから送出する「エグレス料金」がとても高いです。
Cloudflareもこの内容をブログに提示しています。
AWS’s Egregious Egress (AWSの悪質なEgress)
https://blog.cloudflare.com/aws-egregious-egress/
ここで驚いたのは、Amazonはアメリカ、ヨーロッパのユーザーになんと!実際コストの8000%を課しているということです。日本の場合は1613%ですが、これは本当に驚きました。


ここでCloudflareが歓迎される理由が出てきます。
Cloudflareはエグレス料金がないです。
Cloudflareは「エグレス料金(送信手数料)なし 0円」
100万人のユーザーに1GBのデータを見せるためにAmazonにエグレス料金を5万ドル(約600万円)を払わなければならなかったんですが、Cloudflareを利用すれば0円になります。

Cloudflare は、1 秒あたり 10 回未満アクセスしたオブジェクトに対しては、料金が発生しません。
これは1日あたり77万7000回未満で、また発生する料金もAWSより安いです。
オブジェクトへのアクセス頻度が低ければ、プロバイダーのサポートは取るに足らないものですが、同じように操作ごとの料金が課せられます。Cloudflareでは、典型的なオブジェクトストレージ料金は公正ではないと感じていました。1秒に1回リクエストする開発者と1秒に何千回もリクエストする企業(交渉でボリュームディスカウントを得ていて頻度がより高くなることが多いでしょう)が、同じ料金が課せられるからです。
Cloudflare R2ストレージの発表 – 高速で信頼できるオブジェクトストレージ、エグレス料金なし https://blog.cloudflare.com/ja-jp/introducing-r2-object-storage-ja-jp/
CloudflareはS3からの移行を支援するアダプタを作りました。
これから膨大なデータトランスファーを要求する事業(SNSのように数多くの写真、動画のアップロード、ダウンロードが必要なビジネス)のスタートアップ企業は、これからはCloudflare R2を利用することで簡単で安く事業を始めることができるようになりました。
Cloudflare Images

もう一つのプロダクトはCloudflare Imagesです。
Webサービスでユーザーは画像をアップロードして、プロフィールを変更することがよくあります。
ユーザーが画像をアップロードすると、その画像のサイズを減らして、解像度を下げて、PNGからJPEGに変えるなど。画像を変換することが必要です。1人でしようとしたら開発に時間もかかり、保存、データトランスファーするコストもかかります。
このようなことをやってくれるのがCloudflare Imagesです。
コスト
10万枚の画像を1ヶ月5ドルの費用でホストできます。
また、10万枚の画像を配信費用は1ヶ月1ドルです。
You pay $5/month for every 100,000 stored images and $1 per 100,000 delivered images.
Cloudflare Images Now Available to Everyone https://blog.cloudflare.com/announcing-cloudflare-images/
Cloudflare Imagesは1回のみ費用を払えば、Rust、Go言語を使って画像を様々な形に変換、配信してくれます。
Cloudflare Imagesの良いところは、urlを変えることで画像の変換ができるところです。
つまり、画像をアップロードしてから、後でリクエストをするだけで、1:1リサイズになって配信することができます。解像度を下げたり、jpgに変換したり、画像にウォーターマークを追加することもできます。
Cloudflare Images
https://www.cloudflare.com/ja-jp/products/cloudflare-images/
1つのAPIで大量の画像を格納、リサイズ、最適化、配信
Cloudflare Imagesを利用すれば、画像を活用するサービスの開発がやりやすくなると思います。
例えばレシピ専用のSNS(インスタグラムのような)サービスを作るとするのであれば、画像の処理をする部分の開発に対する心配はなくなるでしょう。
Cloudflare Connect

動画のライブ配信・オンデマンド配信プラットフォームです。
Cloudflare Streamでライブストリーミングサービスを構築することがすごく簡単になります。
Twitchやライブコマースを作りたい場合は、Cloudflare Streamを利用すれば良いです。
Twitchのようなサービスを作るのには、ストリーマーから映像を受けて、エンコードした後、ユーザーにその映像を送信する必要があります。 Cloudflare Streamは一度APIを呼び出したら、エンコーディングからライブ配信までできます。しかもライブ映像を自動保存までしてくれます。
Cloudflare Stream
https://www.cloudflare.com/ja-jp/products/cloudflare-stream/
Cloudflare Connect

Cloudflare ConnectはStreamシグナル一つを持って他のストリームプロバイダに振りわけるものです。
YouTube、Facebook、Twitchに別々でアップロードするのではなく、Cloudflareにアップロードするだけで他のプラットフォームに配信してくれます。
費用は1000回の視聴に1ドルです。録画映像は1000分保存する費用が5ドルです。
WebRTC Components
(現在はクローズベータ状態。)
Zoom、FaceTime、リアルタイムビデオゲームなどをWebRTC + Cloudflareを使用して簡単に作ることができます。
実際、WebRTCでFaceTimeを作ることは難しくありません。 難しいのは何百、何千人のユーザーに送信することです。このとき必要なのがCloudflareです。
現在はクローズベータ状態なので説明できる内容は少ないですが、このサービスを商用化するというところがすごいです。なぜなら、Video Conferencing(ビデオ会議サービス)のようなものが今とても高いだからです。
エンジニアがすごく期待している理由の一つです。
上で紹介したプロダクト以外にもCloudflare Workersとか、KV storageなどがあります。(サーバーレス分野のプロダクト)
Cloudflare Workers
https://www.cloudflare.com/ja-jp/products/workers-kv/
最後に
どうしてこんなのが可能なのか?
どうしてこののようなサービスが安い価格で提供できるのか?
CloudflareはAmazonの対抗馬になるのだろうか?
ちなみに、Cloudflareは世界で最も高速で大規模なグローバルネットワークを持っています。
100カ国以上、250都市にサーバーがあります。
ここで注目するところは、ネットワークのスピードが1秒あたり100TBということです。
また、2018年からCloudflare Backboneというものを作っていて、前世界のデータセンターを繋ぐために海底にファイバーオプティックケーブル(光ケーブル)を敷いています。
Cloudflare Backbone: A Fast Lane on the Busy Internet Highway
https://blog.cloudflare.com/cloudflare-backbone-internet-fast-lane/
他のネットワークに頼らずに彼らだけのインターネットを作っているのです。このように位相を誇示しているのです。
世界中でととも早いネットワークを持って、今はエンジニアに自分たちが作ったネットワークを利用してサービスを作ってみてくださいと言っているのです。APIをオープンしてエンジニアはそのリソースを活用することができます。 エンジニアの方々にはすごく良い朗報だと思います。

